第77期名人戦 第4局 佐藤名人 VS 豊島二冠
5月16日、17日に福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で行われた名人戦を振り返りたいとおもいます。
開幕から3連勝と勢いに乗る豊島二冠ですが、悲願の名人獲得に闘志を燃やす本局ですが、ここまで落ち着いた対局で佐藤名人を圧倒しております。一方、このままでは終われない佐藤名人はなんとか1勝を返して本シリーズの反撃の狼煙をあげたいところです。
ここまでの両者の対戦成績は豊島二冠の14勝6敗と少し差が開いています。
2手目
豊島二冠 ▲ なし
佐藤名人 △ なし
両者飛車先の歩を突き合う出だしとなりました。ここから相掛りや角換わりの進行が予想されます。今期成績は佐藤名人が1勝3敗(0.250)となります。3敗全てが名人戦によるものです。一方の豊島二冠は4勝0敗(1.000)と全勝をキープしております。
24手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角
戦型は角換わり腰掛け銀になりそうです。後手は早々に△7三桂とし、先手を牽制しております。最近では端を省略して後手から仕掛ける将棋も多いところです。
35手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角
先手の主張は9筋の端の位を獲得したことです。しかし、その分中央の整備が遅れているため、後手の速攻には注意が必要です。先手は▲4八金ではなく、▲3八金と上がりました。中央が薄くなりますが、手待ちの意味もありそうな手です。
46手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角、歩
先手は▲3八金を▲4八金とし、4筋から仕掛けました。▲4五歩、△同歩、▲同桂、△4四銀、▲4六歩と支えた対局で後手は△6五歩と6筋の位を確保しました。次に△6四角と設置して先手の攻めを牽制する意味がありそうです。
59手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 歩2枚
△6四角に対して4六の地点を▲3七金と受けたあと先手は端攻めにでました。後手玉は1筋から遠ざかっていますが…
△同香ですと、▲1二角が厳しそうです。▲2一角成と▲2三角成を同時に受けることができません。
73手目
豊島二冠 ▲ 歩
佐藤名人 △ 歩
先手は決断の角を放ちました。この角の働きが本局の行方を左右しそうです。△4三銀と受けられた時に角が働くかが心配ではあります。ここで佐藤名人が封じ手の意思を示しました。ここまでの消費時間は豊島二冠が3時間53分、佐藤名人が3時間51分とほとんど消費時間に差は開きませんでした。
74手目
豊島二冠 ▲ 歩
佐藤名人 △ 歩
封じ手は△8六歩でした。検討室では△4三銀が本命でしたが…形勢はまだまだ難しそうです。
80手目
豊島二冠 ▲ 歩
佐藤名人 △ 歩3枚
後手が駒損覚悟で攻めにでました。▲1六角が働いていないのが後手の主張でしょうか?以下、▲同銀、△同飛、▲8七歩までは進みそうですが、そこからの後手の飛車の引き場所が悩ましいところです。
95手目
豊島二冠 ▲ 歩2枚
佐藤名人 △ 銀、桂、香、歩3枚
駒割りは▲角と△銀、桂、香の3枚換えで後手が駒得ですが、▲4四歩が急所の一手です。
100手目
豊島二冠 ▲ 歩3枚
佐藤名人 △ 桂、歩3枚
駒取りが各所でかかる展開になりました。▲1六角、△同銀として先手の攻め駒を減らすのが後手の狙いの1つです。以下、▲5六金と逃げておくと△3八銀が遊んでいる印象を受けます。
105手目
豊島二冠 ▲ 歩3枚
佐藤名人 △ 角、桂、歩3枚
後手の飛車が捕まりました…後手玉は決して堅い形ではありませんので、先手に飛車を渡すのは相当危険です。形勢は先手が良さそうですが、佐藤名人も粘り強い受けが持ち味の棋士ですので、このまま終わるとは思えません。
123手目
豊島二冠 ▲ 銀、桂、歩
佐藤名人 △ 金、桂、歩5枚
先手が飛車を切って決めにいきました。△同金ですと、▲3四歩が▲5一銀までの詰めろになります。△同馬ですと、▲3三歩、△同玉、▲4五桂、△3二龍までの詰みになります。いよいよ豊島二冠の名人獲得が現実のものとなってきました。
投了図
豊島二冠 ▲ 銀、歩
佐藤名人 △ 飛、金、銀、桂、歩5枚
この局面で佐藤名人が投了しました。この瞬間に豊島新名人が誕生しました。△同金、▲同銀で上から押さえていけば、先手玉に寄りはありませんので、一手一手となります。これで豊島名人は棋聖、王位を含めた三冠となり頭一つ抜け出しました。名人1期獲得により、同時に九段にも昇格しました。豊島名人はこれから棋聖、王位の防衛戦に臨みます。敗れた佐藤九段ですが、あと2期に迫った永世名人獲得に向けて今期の順位戦に期待です!
第4期叡王戦七番勝負 第4局 高見叡王 VS 永瀬七段
5月11日(土)に行われた第4期叡王戦七番勝負第4局を振り返りたいと思います。ここまで3連勝で叡王獲得に王手をかけている永瀬七段に対し、カド番に追い込まれた高見叡王ですがここから巻き返したいです。
両者の対戦成績は永瀬七段の6勝0敗とスコアに差が開いています。流れを変えるためにも高見叡王として1勝をあげたいところ…角換わり、矢倉、横歩取りといった相居飛車の将棋が多いです。
8手目
高見叡王 ▲ なし
永瀬七段 △ なし
横歩取り模様に進んでいます。高見叡王の今期成績は0勝4敗(0.000)と未だに勝ちがありません。一方の永瀬七段は6勝1敗(0.857)と高勝率を維持しています。
18手目
高見叡王 ▲ 歩3枚
永瀬七段 △ 歩2枚
先手は▲3四飛のまま戦う青野流の選択肢もありましたが、▲3六飛と飛車を引きました。後手も△8四飛、△8五飛の選択肢がありましたが△8四飛型を採用しました。
30手目
高見叡王 ▲ 歩2枚
永瀬七段 △ 歩2枚
▲3六歩に△3四飛として揺さぶりをかけた局面です。
34手目
高見叡王 ▲ 角、歩2枚
永瀬七段 △ 角、歩2枚
30手目から▲3七銀、△4四角、▲同角に△4四飛と進んだ局面です。△4四飛に変えて△4四歩ですと、▲4三角、△同金、▲2三飛成の強襲がありました。
36手目
高見叡王 ▲ 歩2枚
永瀬七段 △ 角、歩2枚
後手が飛車をぶつけました。果たしてどちらが読み勝っているのか…横歩取りらしい派手な展開になりました。
37手目
高見叡王 ▲ 歩2枚
永瀬七段 △ 角、歩2枚
次の瞬間、気合い負けはしていられないと▲2四飛と飛車交換に応じました。△同銀、▲4一飛、△3一飛、▲同飛成、△同金、▲2二歩が考えられます。後手の主張は先手に角を手放させていることでしょうか、先手は飛車の打ちとこを与えていません。
53手目
高見叡王 ▲ 歩
永瀬七段 △ 飛、歩3枚
次に▲9四歩から▲9二歩からの香車取りが狙いになります。ですので、後手は△8三歩などで受ける必要があります。形勢は互角だと思いますが、先手の方が龍を作り、角を設置しているので方針は決めやすそうです。後手は△4二の角をどのように活用するかがポイントになりそうです。
65手目
高見叡王 ▲ 歩
永瀬七段 △ 飛2枚、歩2枚
後手の角が捕まりました。現状の飛車と金の交換ですが、次に▲3一金と角を取れば先手の駒得になりそうです。後手は飛車しかないので、受けに適した駒はありません。
73手目
高見叡王 ▲ 角、歩
永瀬七段 △ 飛、金、歩2枚
△3八飛打、▲同金、△同飛成、▲7七玉、△2八龍、▲2四馬の進行が一例として考えられます。形勢判断は難しいですが、先手の馬も手厚いので、先手を持ってみたいところです。
86手目
高見叡王 ▲ 飛、金、桂、歩
永瀬七段 △ 飛、角、歩
駒割りは先手の桂得です。後手が天王山に角を配置した局面です。両取り逃げるべからずとの格言もありますが、先手は攻め合うのでしょうか?
92手目
高見叡王 ▲ 銀、歩2枚
永瀬七段 △ 飛、角、銀
△5六歩、▲同歩と玉のコビンにスペースを作ってから▲2八馬としました。先手は▲7七玉〜▲8八玉と囲えると端の位も生きてきそうです。
106手目
高見叡王 ▲ 金、歩3枚
永瀬七段 △ 飛、銀、桂、香、歩
次に△8六桂と跳ねられるのが厳しそうです。銀があれば▲8五銀と受けたいところですが…
投了図
高見叡王 ▲ 金2枚、香、歩3枚
永瀬七段 △ 香、歩3枚
この局面で高見叡王が投了しました。以下、▲同金、△同銀不成、▲同玉、△7九龍、▲同合、△7六金までの詰みです。この瞬間、新叡王が誕生しました。8タイトルを6人で分けている戦国時代ですが、これからの将棋界を背負っていく新世代の台頭が目立つ今日です!
第77期名人戦 第3局 佐藤名人 VS 豊島二冠
5月7、8日に行われた名人戦第3局を振り返りたいと思います。
ここまで開幕2連勝中の豊島二冠が名人奪取に王手をかけるのか?それとも佐藤名人が反撃の狼煙となる1勝をあげるのか?
両者の対戦成績は豊島二冠の13勝6敗と勝ち越しています。同世代の両者ですので、これから対局数も増えていくと思います。
2手目
佐藤名人 ▲ なし
豊島二冠 △ なし
2手目△8四歩でスタートしました。最近の豊島二冠は△8四歩を採用することが多い印象です。佐藤名人の今期の成績は1勝2敗(0.333)です。まだまだ始まってばかりですが、調子を上げていくためにも本局は星を獲りたいところです。豊島二冠の今期の成績は3勝0敗(1.000)です。名人戦2連勝の勢いそのままに全勝で突き進んでいます。
13手目
佐藤名人 ▲ 角
豊島二冠 △ 角
戦型は角換わりになりました。第1局の千日手局も合わせるとこのシリーズで3局目になります。先手は▲3八銀として棒銀、早繰り銀、腰掛け銀のどの可能性を含みにしています。
40手目
佐藤名人 ▲ 角
豊島二冠 △ 角
豊島二冠が△4一飛と指した局面です。次に△3一玉を指せれば先手から仕掛けることは難しくなります。後手は千日手歓迎ですので、待機策を取ることができます。
41手目
佐藤名人 ▲ 角
豊島二冠 △ 角
後手の飛車先が通る前に佐藤名人が仕掛けました。まだまだ形勢判断は難しいと思いますが、自分なら先手を持ってみたいです。△同歩ですと、▲同銀、△同銀、▲同桂、△4四銀、▲4六歩で先手の駒が捌けて指しやすそうです。ですので、△3一玉又は△5二玉が予想されます。
47手目
佐藤名人 ▲ 角
豊島二冠 △ 角、歩
先手が矢倉に入玉しました。先手玉は安定しているので、先手持ちです。後手は苦労が多そうに見えますが…
ただ豊島二冠はソフトを取り入れた研究に定評がありますので、この展開も想定内かもしれません。
54手目
佐藤名人 ▲ 角
豊島二冠 △ 角、歩
ジリジリとした駒組みが続いています。先手は隙をついて穴熊に組む方針を見せました。これに対応して後手も飛車を4筋から8筋に戻しました。
穴熊まで組めれば先手の作戦勝ちですが、次に▲9九玉とすると、5筋が気になります…
第4期叡王戦七番勝負 第3局 高見叡王 VS 永瀬七段
高見叡王に挑戦する叡王戦も第3局まで進みました。ここまで開幕から2連勝と永瀬七段が最高のスタートをきりました。
両者のここまでの対戦成績は永瀬七段の5勝0敗です。そろそろ高見叡王も1勝を返したいところ…
今年度の成績は永瀬七段が5勝1敗(0.833)、高見叡王が0勝3敗(0.000)です。
2手目
永瀬七段 ▲ なし
高見叡王 △ なし
後手は2手目に△8四歩を選択しました。第1局が角換わり、第2局が横歩取りでした。本局も角換わりか矢倉に進みそうです。
10手目
永瀬七段 ▲ なし
高見叡王 △ なし
3手目▲6八銀から矢倉に進みました。先手が▲2五歩と決めているのが特徴です。矢倉は後手の急戦策により採用率が激減していますが、タイトル戦の大一番で採用しました。永瀬七段は研究家としても知られているので、新しい手が見れるかもしれません!
28手目
永瀬七段 ▲ なし
高見叡王 △ なし
3筋の金を△4三の地点に配置しました。2筋が薄くなると思うのですが、堅さよりバランスを重視した指し方です。
43手目
永瀬七段 ▲ なし
高見叡王 △ なし
同型から先手が仕掛けました。ここから先手が積極的に攻めていく展開になると思います。
53手目
永瀬七段 ▲ なし
高見叡王 △ 歩4枚
先手が4筋、3筋、2筋と歩を突き捨て銀を進出させました。先手の攻めが好調そうですが、先手玉も決して堅いわけではないで歩を渡し過ぎると反動が厳しそうです。
63手目
永瀬七段 ▲ 金、桂
高見叡王 △ 桂、歩4枚
自分なら先手を持ってみたい局面ですが…
△同歩ですと、▲同香、△同香、▲3四歩から攻めが繋がりそうです。ですので、1筋は手抜いて別の手が考えられます。
64手目
永瀬七段 ▲ 金、桂
高見叡王 △ 歩4枚
高見叡王の手は△4六桂でした。△5八金に狙いを定めながら角道を塞いでいます。
74手目
永瀬七段 ▲ 金、桂、歩2枚
高見叡王 △ 歩
とうとう後手が反撃にでました。▲同歩ですと、△同桂、▲6六銀、△8六歩から攻められそうです。
97手目
永瀬七段 ▲ 金、桂、歩5枚
高見叡王 △ 歩3枚
後手の攻めも急所をついてきました。次に▲4五桂の狙いがあります。
101手目
永瀬七段 ▲ 金、桂、歩5枚
高見叡王 △ 歩
後手は△5五歩として角の睨みを防ぎましたが、先手はあくまで後手のコビンを狙いを定めています。△同歩ですと▲5六桂からの攻めがあり、放置すると▲4六金から先手の攻めに厚みがでます。
111手目
永瀬七段 ▲ 金、桂、歩6枚
高見叡王 △ 香、歩2枚
やはり玉のコビンが急所のようです。先手は端で手に入れた香を打ち込みました。
117手目
永瀬七段 ▲ 金、銀、桂、歩7枚
高見叡王 △ 香、歩
次の▲4四角が厳しそうなので、ここは△5五角とすると思います…
まだまだ難しい局面です。
投了図
永瀬七段 ▲ 金、銀、歩8枚
高見叡王 △ 銀、歩
この局面で高見叡王が投了しました。以下、△2三香、△2三銀ともに即詰みが生じており、△2三銀打も銀を使ったことで先手玉の詰めろが消え、▲8六歩と飛車を取られて厳しそうです。
これで永瀬七段が3連勝と叡王獲得に王手をかけました。高見叡王はカド番に追い込まれましたが、ここから巻き返して欲しいです。
第4局は5月11日(土)に広島県の「みやじまの宿 岩惣」で行われます。
第60期王位戦挑戦者決定リーグ 羽生九段 VS 中村太地七段
5月に入り元号も平成から令和になり、新しい時代になりました。
本局は豊島王位に挑戦するリーグ戦白組の羽生九段と中村七段の一局です。
ここまでのリーグ成績は羽生九段が1勝1敗、中村七段が2勝0敗です。中村七段がこのまま全勝をキープするのか?羽生九段が挑戦に向けて踏み止まるのか?前半戦の山場です。
今期の成績は羽生九段が1勝2敗(0.333)、中村七段が2勝1敗(0.667)です。
両者の対戦は羽生九段の9勝5敗です。対局のほとんどがタイトル戦の大一番です。
8手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ なし
横歩取りの将棋になりそうです。横歩取りは両者とも得意としている戦法です。
19手目
中村七段 ▲ 歩3枚
羽生九段 △ 歩2枚
先手は青野流を選択しました。横歩取りの中でも特に激しい変化になりやすいのが青野流です。
29手目
中村七段 ▲ 歩2枚
羽生九段 △ 飛、歩
先手は龍を作ることに成功しました。後手は次に△2四角とすれば1歩得になります。ただ後手は2筋と8筋に歩を打っているのが気になるところではあります…
47手目
中村七段 ▲ 角、歩
羽生九段 △ 飛、角、歩2枚
先手が端から手をつけましたが、△同歩の時にどのように攻めるのでしょうか?
53手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 飛、歩4枚
47手目から△同歩、▲1二歩、△同歩、▲5四歩、△2四角、▲3四歩と後手の角を押さえた局面です。先手は歩切れですが、歩が手に入ると▲2四歩から角を捕獲することができます。
61手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 歩4枚
これで後手の角が捕獲されました。しかし、先手も龍の侵入を許しており、形勢は難しいと思います…先手玉は2筋方面に逃げれば中々捕まらない形です。
62手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 歩3枚
お互いに我が道を進みます。果たしてどちらが読み勝っているのでしょうか?
78手目
中村七段 ▲ 角、金、香、歩3枚
羽生九段 △ 金、歩4枚
以下、△4八玉、▲4七角成、△同玉、▲4九龍でかなり先手玉に迫れます。ただ後手も7筋、8筋が壁になっており、決して安全ではないところ…
97手目
中村七段 ▲ 角2枚、歩4枚
羽生九段 △ 金、桂、歩4枚
先手が中央に駒を集めて特攻をかけました。以下、△同玉銀、▲同桂左成、△同金、▲同桂成、△同玉までは進みそうです。ここまで進むと、後手玉を引っ張りだされたの形になるので相当に危険です。
126手目
中村七段 ▲ 金2枚、銀、桂、香、歩4枚
羽生九段 △ 銀、歩3枚
局面は進みお互いの玉が接近してきました。そうなってくると△7五金の存在が大きそうです…▲6八銀も△7九龍を牽制しています。
投了図
中村七段 ▲ 金2枚、銀、歩5枚
羽生九段 △ 桂、歩3枚
この局面で中村七段が投了しました。これでリーグ成績をお互いに2勝1敗にしました。現在リーグ戦白組は永瀬七段が3勝0敗で独走していますが、まだまだわかりません。
第32期竜王戦1組ランキング戦 羽生九段VS永瀬七段
4月23日広瀬竜王に挑戦する竜王戦1組ランキング戦の羽生九段と永瀬七段の一戦を振り返りたいと思います。
ここまでの両者の対戦成績は永瀬七段の6勝3敗と永瀬七段が勝ち越しています。
羽生九段は言わずと知れた棋界のスーパースターです。永瀬七段は受けが持ち味の居飛車党の棋士です。
今期の成績は羽生九段は1勝1敗(0.500)、永瀬七段は4勝0敗(1.000)です。
2手目
永瀬七段 ▲ なし
羽生九段 △ なし
2手目△8四歩で後手が居飛車が明示しました。最近は角換わりの将棋が増えています。
12手目
永瀬七段 ▲ なし
羽生九段 △ なし
永瀬七段の作戦は矢倉でした。先手の矢倉は後手の急戦策で採用が減少していましたが…
ただ、永瀬七段は研究家としても有名ですので、研究した手が見れるかもしれません。
後手はさっそく飛車先の歩を突き、急戦策を匂わせています。
26手目
永瀬七段 ▲ 歩
羽生九段 △ なし
後手がさっそく仕掛けました。先手に▲4六銀と指される前に5筋の歩の交換をしました。
33手目
永瀬七段 ▲ 歩
羽生九段 △ 歩
先手が位を確保しました。形勢はまだまだ難しいと思います…
39手目
永瀬七段 ▲ 歩
羽生九段 △ 歩
▲6七金ではなく、▲5七金と上がりました。次に▲4六金として中央の位の確保を目指します。
49手目
永瀬七段 ▲ 歩2枚
羽生九段 △ 歩
後手から△6五歩と仕掛けました。玉形の堅さは後手の方が堅さそうですが、角筋に入ってもいると考えられます。
65手目
永瀬七段 ▲ 歩
羽生九段 △ 金、歩2枚
拠点に銀を打ちました。飛車が逃げると▲3四銀として飛車先を突破する手が厳しそうです。後手の受けが難しそうですが…
▲3四銀から以下、△5四金、▲2三銀成、△同金、▲同飛、△5三金、▲5四歩がぴったりで先手が良さそうです。
72手目
永瀬七段 ▲ 歩
羽生九段 △ 歩3枚
65手目から以下、△8二飛、▲3四銀、△1二金、▲3五角、△3一角、▲2二歩、△同金まで進みました。
後手が受けに△1二金と使い、その金が2筋の壁になったのでは後手が厳しそうですが…
82手目
永瀬七段 ▲ なし
羽生九段 △ 歩6枚
▲8七銀はすごく厳しそうな手ですが、後手も飛車と金の両取りがかかっており、忙しい局面です。
投了図
永瀬七段 ▲ なし
羽生九段 △ 金、銀、歩5枚
この局面で羽生九段が投了しました…
以下、△同玉、▲6三飛成、△同玉、▲6二金までの詰みです。
永瀬七段は決勝トーナメントに進出を決めました!
第90期棋聖戦挑戦者決定戦 渡辺二冠 VS 郷田九段
GW突入前の4月26日に行われた棋聖戦挑戦者決定戦を振り返りたいとおもいます。
対戦カードは前期圧倒的な強さで復活を遂げた渡辺二冠と羽生世代の一人で本格居飛車党の郷田九段の一局です。
ここまで様々な舞台で戦ってきた両者の対戦成績は23勝14敗で渡辺二冠が勝ち越しています。
今期の成績は渡辺二冠が2勝0敗(1.000)、郷田九段が2勝1敗(0.667)です。
2手目
渡辺二冠 ▲ なし
郷田九段 △ なし
2手目△8四歩で相居飛車が確定しました。
15手目
渡辺二冠 ▲ 角
郷田九段 △ 角
戦型は角換わりとなりました。両者得意としている戦法です。
36手目
渡辺二冠 ▲ 角
郷田九段 △ 角
後手が6筋から仕掛けました。後手の金が△7二金
にいるのがポイントです。▲同歩は後手の駒が前進してくるので指しにくそうです。
41手目
渡辺二冠 ▲ 角、歩
郷田九段 △ 角、歩
先手が駒をぶつけました。以下、△6三銀、▲7七桂、△8六歩、▲同歩、△同飛、▲6四歩から下記の48手目、△5二銀まで進みました。
48手目
渡辺二冠 ▲ 角、歩
郷田九段 △ 角、歩2枚
先手が6筋に拠点を作って良さそうに見えますが…
ただ後手の着手時間もすぐに指された手だったので、読み筋だと思います。
55手目
渡辺二冠 ▲ 角
郷田九段 △ 角、歩2枚
後手の桂が中央に2枚集まる好形になりました。駒の勢いで先手が局面を動かしていきます。
58手目
渡辺二冠 ▲ 角、桂
郷田九段 △ 角、歩2枚
感触の良さそうな桂打ちです。▲5六銀、△6四飛、▲6七金、△6一飛のときに先手が歩切れのため受けが難しそうです。
69手目
渡辺二冠 ▲ 歩
郷田九段 △ 角、銀、歩2枚
△3四歩と桂を取られる前に駒を働かせにいきました。△3四歩には▲1一角成から▲2一馬で迎撃体制を築こうとしています。
90手目
渡辺二冠 ▲ 金、桂、歩2枚
郷田九段 △ 香、歩3枚
後手が追い込みを見せています。▲6七歩の受けに△8一飛の活用が良さそうです…
105手目
渡辺二冠 ▲ 角、金、銀、桂、歩
郷田九段 △ 金、歩2枚
△6八金からの詰めろを防いだ一手です。先手は金一枚のために後手玉にどこまで迫れるか?
投了図
渡辺二冠 ▲ 金、香、歩2枚
郷田九段 △ 銀、歩3枚
この局面で郷田九段が投了しました。渡辺二冠が3冠復帰に向けて棋聖戦の挑戦権を獲得しました!6月4日(火)に兵庫県の「ホテルニューアワジ」で豊島棋聖と対局が行われます!
第77期名人戦 第2局 豊島二冠 VS 佐藤名人
春が到来しましたが、棋界でこの時期といえば名人戦です。豊島二冠が佐藤名人に挑戦する名人戦の第1局は豊島二冠が勝利をあげました!豊島二冠が待望の名人を獲得し3冠制覇をするのか?佐藤名人が4連覇を達成し、永世名人に王手をかけるのか?次世代を担う若い2人の対局です!
29手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角
戦型は角換わりになりました。先手は9筋の歩を突き越しました。端を突き越した分、中央を整備が遅れているので後手の攻めに注意です。
34手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角
後手が6筋の位を確保しました。次に△6四角と先手の攻めを牽制する手が見えます。
39手目
豊島二冠 ▲ 角
佐藤名人 △ 角
△6二金を狙った一着です。△5二金、▲3五歩から3筋の歩の交換も狙っていますが、角を手放した手でもあるので決断の一着です。
46手目
豊島二冠 ▲ 歩
佐藤名人 △ 歩
先手が玉を寄ることで金にひもをつけました。後手が7筋から反撃にでました。
52手目
豊島二冠 ▲ 歩2枚
佐藤名人 △ 歩
後手は歩を使って3筋を受けました。ジリジリした展開が続きます。この局面で豊島二冠が封じ手をしました!
53手目
豊島二冠 ▲ 歩2枚
佐藤名人 △ 歩
71手目
豊島二冠 ▲ 銀、歩
佐藤名人 △ 桂、歩
後手が9筋から攻めところから先手がと金作りに成功しました。次に▲8三歩の垂らしが厳しそうです。
79手目
豊島二冠 ▲ 金、銀、歩5枚
佐藤名人 △ 角
先手が2枚のと金作りに成功しました。先手の攻めの方が早そうなので、先手優勢だと思います。
87手目
豊島二冠 ▲ 銀、歩6枚
佐藤名人 △ 角
▲7五歩も考えられましたが▲7三金を選択しました。△5二玉に▲7四金から駒を剥がしていく手が良さそうです。
98手目
豊島二冠 ▲ 銀2枚、歩6枚
佐藤名人 △ 角、金
先手が玉を追う流れで飛車を取ることができましたが、後手玉も簡単に寄らない形になりました。先手玉は△5九角からの詰めろになっています。
投了図
豊島二冠 ▲ 飛、角、銀、歩6枚
佐藤名人 △ 金2枚、銀
この局面で佐藤名人が投了しました。これで豊島二冠が開幕2連勝です。第3局は岡山県の「倉敷市芸文館」で行われます。
豊島二冠が悲願の名人を獲得に王手をかけるのか?佐藤名人が踏み止まるのか?
次回の対局も楽しみです!
第60期王位戦挑戦者決定リーグ 羽生九段 VS 永瀬七段
豊島王位への挑戦権をかけて挑戦者決定リーグ戦が開幕しました。本局は3月22日に開幕した白組の初戦です。
15手目
羽生九段 ▲ 歩3枚
永瀬七段 △ 歩2枚
後手が横歩取りに誘導しました。最近は角換わりなどが多いです。
23手目
羽生九段 ▲ 歩2枚
永瀬七段 △ 歩2枚
先手は▲6八玉を選択しました。▲5八玉に比べて左辺からの攻めに当たりが強い点がありますが、有力な作戦の一つです。
30手目
羽生九段 ▲ 歩2枚
永瀬七段 △ 歩2枚
先手は浮き飛車から▲2八に飛車を引きました。一方の後手はひねり飛車模様の将棋ですが、△5四飛車の形が歩越し飛車の形になるので、形はあまり良くなさうですが、5筋を狙いをつけています。
37手目
羽生九段 ▲ 歩
永瀬七段 △ 歩
部分的には先手の損ですが、落ち着いた展開になれば9筋の位が活きる展開です。
47手目
羽生九段 ▲ 歩
永瀬七段 △ 歩
先手はなんとも珍しい形になりました。左辺の壁を解消したのは大きそうです。眠っている角の使い道がポイントになりそうです。
53手目
羽生九段 ▲ 歩
永瀬七段 △ 歩
先手の囲いも完成に近づいてきました。次に▲7八金と指せば強い戦いに備えることがができます。後手も美濃囲いの堅陣ですので、どちらがどのタイミングで仕掛けるのかがポイントになりそうです。
60手目
羽生九段 ▲ 歩
永瀬七段 △ 歩
先手が角の活用を図りましたが、後手がすかさずに端攻めにでました。
66手目
羽生九段 ▲ 歩3枚
永瀬七段 △ なし
後手が端の位を確保しました。▲9七金に後手の仕掛けに注目したいです。ただ現状は歩切れですので、攻めも限られそうです。
81手目
羽生九段 ▲ 歩6枚
永瀬七段 △ 歩
お互いにジリジリした展開が続いています。次に△8五歩が見えますが、そのときの先手の対応に注目です。
91手目
羽生九段 ▲ 歩5枚
永瀬七段 △ 桂
△9五桂を消して局面を複雑化しました。
投了図
羽生九段 ▲ 角2枚、金2枚、桂、歩3枚
永瀬七段 △ 歩2枚
この局面で羽生九段が投了しました。以下、▲9八玉に△8七歩で先手が受けても一手一手になります。永瀬七段がリーグ戦を白星で飾りました!
第44期棋王戦 第4局 渡辺二冠 VS 広瀬竜王
渡辺二冠が棋王戦7連覇を達成するのか、広瀬竜王がフルセットに持ち込むのか?注目の第4戦です!
10手目
渡辺二冠 ▲ なし
広瀬竜王 △ 角
戦型は角換わりになりました。最近では先手が▲2五歩とする形が多いです。
29手目
渡辺二冠 ▲ 角
広瀬竜王 △ 角
先手はバランスの良い形を作りました。
42手目
渡辺二冠 ▲ 角
広瀬竜王 △ 角
後手から仕掛けました。後手番で先行できる形を作れれば、後手としては不満はないところです。次の一手は▲6九飛が予想されます。
47手目
渡辺二冠 ▲ 角、歩
広瀬竜王 △ 角
42手目から先手は▲6九飛ではなく、▲6五歩と堂々と対応しました。渡辺二冠の構想は▲4六角として攻めを牽制する狙いのようです。ただ飛車先の歩は切られてしまいます。
51手目
渡辺二冠 ▲ 歩
広瀬竜王 △ 角
盤上の桂馬を消しにかかった局面です。攻めの桂馬と守りの桂馬の交換で後手が良さそうですが、先手も桂馬を手持ちにできるメリットもあります。
59手目
渡辺二冠 ▲ 桂、歩
広瀬竜王 △ 角、桂、歩
後手は8筋の歩の交換に成功しました。ただ先手も厚みを作れたとも見れるので、形勢判断は難しいところです。
63手目
渡辺二冠 ▲ 桂
広瀬竜王 △ 角、桂、歩2枚
先手が2筋の歩を突き捨てから反撃にでました。
△同歩ですと、▲7三角成、△6四銀、▲7二馬、△8四飛、▲4六桂が狙いの一つになります。
66手目
渡辺二冠 ▲ 桂
広瀬竜王 △ 角、桂、歩3枚
後手が63手目から歩を取らず、先手に歩を取り込ませて対応しました。
72手目
渡辺二冠 ▲ 銀、桂、歩
広瀬竜王 △ 銀、桂、歩3枚
角には角で対応しました。▲7三角成ですと、△6六歩が厳しそうです。
76手目
渡辺二冠 ▲ 角、銀、桂、歩
広瀬竜王 △ 角、銀、桂、歩2枚
角交換から先手が3筋に争点を求めましたが、後手は6筋に歩を垂らしました。次の△6七歩成が厳しいです。
82手目
渡辺二冠 ▲ 角、桂、歩2枚
広瀬竜王 △ 角、歩
後手が先手の囲いを崩そうとしている局面です。駒の損得はありません。形勢も難しいところです。
86手目
渡辺二冠 ▲ 角、歩4枚
広瀬竜王 △ 角
後手が△8五歩と歩を合わせました。すぐに▲7七銀より△8五飛から△6五飛の転換の狙いがあり、先手玉が戦場に近い意味があります。
91手目
渡辺二冠 ▲ 角、銀2枚、歩4枚
広瀬竜王 △ 角、銀
△7七銀成から後手がと金を作りました。しかし、後手の歩切れも気になるところです。先手としては相手に歩を渡さない攻めができれば優勢になりそうです。
101手目
渡辺二冠 ▲ 角、銀、歩5枚
広瀬竜王 △ 飛車、桂
先手が優勢の局面です。91手目から先手が▲3五角として歩を渡さない攻めで、優勢を築きました。後手は斜めの駒がないの攻めが続きそうにありません。
105手目
渡辺二冠 ▲ 角、銀、桂、歩5枚
広瀬竜王 △ 桂
「両取り逃げるべからず」の格言通りに▲5四銀と桂馬を取りました。△2四竜としても▲5三銀成として先手が良さそうです。
110手目
渡辺二冠 ▲ 銀、桂、歩4枚
広瀬竜王 △ 角、銀、桂、歩
▲8五歩とした時に8六に空間ができるため、後手にも楽しみがでてきました。
113手目
渡辺二冠 ▲ 銀、桂、歩4枚
広瀬竜王 △ 銀、桂、歩
決めてになりそうな王手です。△2二玉に▲4二飛成で後手に有力な手段がなさそうです。
123手目
渡辺二冠 ▲ 角、金、銀、桂、歩5枚
広瀬竜王 △ 銀
先手が良さそうですが、△7七銀、▲同金、△同銀不成、▲同玉、△4八飛車成が詰めろになり、その時に後手玉が詰むかどうかになりそうです。
先手の駒が豊富なので詰みそうではありますが。
投了図
渡辺二冠 ▲ 銀、桂2枚、歩4枚
広瀬竜王 △ 金2枚、銀、歩2枚
この局面で広瀬竜王が投了しました。これで渡辺二冠が棋王位を7連覇しました!
第12回朝日オープン 稲葉八段VS藤井聡太七段
朝日オープンに前回覇者の藤井七段が登場します。連覇を狙う藤井七段ですが、立ちはだかるのはA級棋士の稲葉八段です。
5手目
稲葉八段 ▲ なし
藤井七段 △ なし
相掛かりの出だしになりましたが、先手が角道を開けたので、角換わりか横歩取りになりそうです。
26手目
稲葉八段 ▲ 角
藤井七段 △ 角
戦型は角換わり腰掛け銀になりそうです。角換わりは両者が得意とする戦型です。
37手目
稲葉八段 ▲ 角
藤井七段 △ 角
両者、腰掛け銀に構えました。後手は△6二金ではなく、△7二金としているのが工夫の1つです。
43手目
稲葉八段 ▲ 角
藤井七段 △ 角
先手が桂を跳ねました。△4四銀、△2二銀の2通りが考えられる局面です。
50手目
稲葉八段 ▲ 角、歩
藤井七段 △ 角
先手が飛車先の歩の交換に成功し、持ち歩を手に入れました。そこで後手が6筋から反発しました。
58手目
稲葉八段 ▲ 角、歩2枚
藤井七段 △ 角、歩2枚
後手が7筋を絡めて攻めにでました。玉頭だけに先手としては気持ち悪いです。
60手目
稲葉八段 ▲ 角、歩
藤井七段 △ 角、歩2枚
先手が▲7七歩で玉のコビンを守った手に対して9筋の端攻めを決行しました。
70手目
稲葉八段 ▲ 角、歩6枚
藤井七段 △ なし
9筋の香を狙いながら、△4五銀右、▲同歩、△同銀も見せています。▲同銀ですと△2九角成があります。
73手目
稲葉八段 ▲ 角、歩6枚
藤井七段 △ なし
先手が銀を引いて香車を守った手に対して、後手が△8五桂と気持ちの良い活用をしました。後手の攻めが続くのかがポイントになりそうです。
76手目
稲葉八段 ▲ 角、桂、歩6枚
藤井七段 △ なし
玉頭に銀を打ち込みました。△9六銀、▲同金、△同角、▲同玉、△9五香の攻めがあります。
84手目
稲葉八段 ▲ 角2枚、銀2枚、桂、歩6枚
藤井七段 △ 金、桂
先手に△8七金からの詰めろがかかりました。後手が優勢になりました。
90手目
稲葉八段 ▲ 角2枚、銀2枚、桂、歩5枚
藤井七段 △ 金、銀、桂、歩
先手の受けが難しくなってきました。次の△6七飛成が厳しそうです。
投了図
稲葉八段 ▲ 角2枚、銀2枚、桂、歩6枚
藤井七段 △ 金、歩
この局面で稲葉八段が投了しました。以下、▲7四合、△7三金打、▲8五玉、△7四金までの詰みとなります。藤井七段が流石切れ味を見せつけ、ベスト8に進出を決めました!
第32期竜王戦1組ランキング戦 羽生九段VS阿部健治郎七段
竜王位を失冠した羽生九段ですが、新たな戦いが始まりました。本局は羽生九段と阿部健治郎七段の対局です。
4手目
羽生九段 ▲ なし
阿部七段 △ 角
阿部七段が一手損角換わりに誘導しました。最近阿部七段が多く指している戦法です。
14手目
羽生九段 ▲ 角
阿部七段 △ 角
羽生九段は腰掛け銀を選択しました。▲3六歩〜▲3七銀と早繰り銀で対抗する指し方も多いところです。
32手目
羽生九段 ▲ 角
阿部七段 △ 角
△6二金ではなく△5二金でした。すぐに△5四銀を指すと▲7二角があります。阿部七段の構想に注目です。
36手目
羽生九段 ▲ 角
阿部七段 △ 角
後手が右玉に組み替えた局面です。後手は手損をしていますが、右玉は千日手にもなりやすく、そこまで手損が響く展開にはならなさそうです。
42手目
羽生九段 ▲ 角
阿部七段 △ 角
後手が局面をほぐしにいきました。▲6五歩と指される手がありました。銀交換の後に△4七銀、▲同金、△5八角の筋も生じます。
47手目
羽生九段 ▲ 角、銀
阿部七段 △ 角、銀
先手が6筋から攻めました。
54手目
羽生九段 ▲ 角、銀、桂、歩
阿部七段 △ 角、桂
桂交換から後手が銀を投資して、しっかり受けました。
55手目
羽生九段 ▲ 角、銀、歩
阿部七段 △ 角、桂
先手が自陣に桂を打ちました。△6六桂を防ぎつつ、5八の空間も埋めた手になります。角換わり戦らしく動かす駒が難しくなってきました。
61手目
羽生九段 ▲ 桂、歩
阿部七段 △ なし
先手が角を切った局面です。駒損になりますが、▲2九飛と回れば後手の角は捕まります。
67手目
羽生九段 ▲ 桂、歩
阿部七段 △ なし
先手が凌ぎ切れば良さそうな局面です。
78手目
羽生九段 ▲ 角、桂、歩2枚
阿部七段 △ 歩2枚
先手が懸命に受けています。駒割りは角、桂と金の交換になっています。
94手目
羽生九段 ▲ 角、金2枚、銀、桂、歩5枚
阿部七段 △ 飛車、金
と金の存在が大きそうですが、▲7三銀があります。△同玉は詰むので、△8三玉と逃げたときにうまい手順があるのか?注目です。
101手目
羽生九段 ▲ 金、桂、歩7枚
阿部七段 △ 飛車、金
先手がと金を取り除くことに成功し、安全になりました。後手は先手に反撃のチャンスを与えずに攻めたいところですが・・・
119手目
羽生九段 ▲ 金、歩8枚
阿部七段 △ 桂
この局面で阿部七段が投了しました。以下、△同飛、▲同金、△同玉、▲8二飛、△8三合、▲8五金から寄り筋です。
時間の対局にも注目です!
第68期王将戦七番勝負 久保王将VS渡辺棋王
渡辺棋王 ▲ なし
久保王将 △ なし
久保王将の作戦はゴキゲン中飛車でした。現在の8大タイトルを6人で分け合う戦国時代ですが、その中で唯一の振り飛車党が久保王将です。
17手目
渡辺棋王 ▲ なし
久保王将 △ なし
後手が△5五の位を取らない作戦を取りました。超速▲3七銀は△5五の歩を目標にする作戦ですので、渡辺棋王が▲4六歩と突いた局面です。
25手目
渡辺棋王 ▲ 角
久保王将 △ 角
後手から角交換を行いました。しばらく駒組みが続きそうです。
32手目
渡辺棋王 ▲ 角
久保王将 △ 角
後手は△4三銀ではなく、△5三銀と活用しました。まだまだ駒組みが続きそうです。
39手目
渡辺棋王 ▲ 角
久保王将 △ 角
先手が▲7五歩の位を確保しました。先手の厚みが増していっています。
42手目
渡辺棋王 ▲ 角
久保王将 △ 角
この局面で渡辺棋王が封じ手をしました。後手は銀冠が途中ですので、怖い局面です。渡辺棋王が仕掛けるのか注目です。
43手目
渡辺棋王 ▲ 角
久保王将 △ 角
封じ手は▲4五歩でした。渡辺棋王が仕掛けました。後手の△7二金を省略した手を咎めにいきました。
50手目
渡辺棋王 ▲ 角、桂、歩
久保王将 △ 桂
桂の交換から後手が角を打った局面です。馬を作り自陣にも効かせる狙いです。
56手目
渡辺棋王 ▲ 角、桂、歩
久保王将 △ 桂
やっと後手の銀冠が完成しました。これで強い戦いができそうです。先手は厚みを生かして玉頭戦に持ち込みたいところです。
65手目
渡辺棋王 ▲ 角、桂、歩2枚
久保王将 △ 桂、歩2枚
先手が玉頭戦を仕掛けてました。▲6六角を設置する展開が予想されます。
71手目
渡辺棋王 ▲ 銀、桂、歩3枚
久保王将 △ 歩3枚
先手が飛車切りを決行しました。△同歩に▲7四歩で玉頭戦でケリをつける展開が予想されます。
76手目
渡辺棋王 ▲ 銀、桂、歩4枚
久保王将 △ 飛車、歩
後手が△8七歩からたたきを入れました。ただ玉頭が厚くなったとの見方もできるので、判断は難しそうです。
84手目
渡辺棋王 ▲ 銀2枚、桂2枚、歩4枚
久保王将 △ 飛車、銀、歩4枚
先手が8筋を清算した局面です。▲6六角、△同馬、▲同銀まで進むと思います。
90手目
渡辺棋王 ▲ 角、銀2枚、桂2枚、歩3枚
久保王将 △ 飛車、銀、歩4枚
▲8三銀から清算する手順が見えますが、詰めろではなさそうです。ただ先手玉も詰めろではないので、1手スキで迫っていけば良さそうです。
97手目
渡辺棋王 ▲ 角、金、銀、桂2枚、歩
久保王将 △ 飛車、金、銀2枚、歩5枚
△同玉は▲6二角の筋があります。先手が優勢ですが難しい局面が続きます。
103手目
渡辺棋王 ▲ 金、銀、桂
久保王将 △ 飛車、金、銀、歩6枚
▲7三角成、△同桂、▲8三銀からの詰めろです。この手が決め手になりそうです。
投了図
渡辺棋王 ▲ 金2枚、銀2枚、桂
久保王将 △ 歩7枚
この手を見て久保王将が投了しました。渡辺棋王が王将位奪還に向けて好発進を切りました。次回の対局にも注目です!
第4期叡王戦本線 佐藤康光九段VS深浦九段
佐藤九段と深浦九段のトップ棋士同士の戦い対局です。若手の台頭が著しい将棋界ですが、まだまだ若手には負けない2人の戦いに注目です。
6手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ なし
先手の3手目▲5六歩の挑発を深浦九段が受けた形になりました。ただ佐藤九段も力戦は得意としているところでもあります。
11手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ なし
後手が馬を作ることに成功しました。馬と手持ちの角では判断は難しいですが、先手がまとめるのは難しい将棋に思えますが、そこは棋界一の剛腕の持ち主である佐藤九段に期待です。
21手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ なし
佐藤九段の構想は独特です。どのように玉を囲うのか注目です。
29手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ なし
後手が穴熊に組みました。先手はまだ居玉で堅さに差が大きいそうですが、先手の囲いに注目です。
39手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ 歩
先手の囲いが完成しました。▲3七桂から地下鉄飛車で端から攻める展開も見えるところです。
44手目
佐藤九段 ▲ 角
深浦九段 △ 歩
開戦しました。▲3五歩、△同銀、▲同銀、△同馬と銀交換に持ち込むのが後手の狙いです。囲いが堅い分後手が優勢だと思います。
46手目
佐藤九段 ▲ なし
深浦九段 △ 歩
先手が端に角を放ちました。すぐに狙いはわかりませんが、形にとらわれない佐藤九段らしい手です。
57手目
佐藤九段 ▲ 歩
深浦九段 △ 歩2枚
左桂が成桂に昇格しました。通常は左桂が捌けたら振り飛車有利な局面が多いですが、本局は後手が穴熊ですので、響きが薄そうです。
64手目
佐藤九段 ▲ 歩2枚
深浦九段 △ 金
成桂を助けるには▲6二成桂しかありませんが、後手玉から遠のくで指しづらい手でもあります。
70手目
佐藤九段 ▲ 金、歩2枚
深浦九段 △ 銀
角を助けるなら▲4九角ですが、先手の角と後手の馬の働きに差があり、後手が優勢な局面です。後手は穴熊ですので、攻めが繋がれば自然に戦えそうです。
77手目
佐藤九段 ▲ 角、歩2枚
深浦九段 △ 飛車、角、金、銀
佐藤九段が自陣飛車を指した局面です。△3六角を消しながら、△3二金にも当てています。後手は歩切れですので、受ける手も限られています。
84手目
佐藤九段 ▲ 金、歩2枚
深浦九段 △ 飛車、角、桂
深浦九段が寄せにでました。△4八金、▲同玉、△2六角からの寄せを狙っています。
88手目
佐藤九段 ▲ 金2枚、歩2枚
深浦九段 △ 飛車、角、銀
▲3五飛車ですと△2六角が王手飛車になります。
佐藤九段としては粘りたいところですが、後手玉は堅いので、粘りが効かない形です。
101手目
佐藤九段 ▲ 金2枚、桂、歩2枚
深浦九段 △ 飛車、角、銀、香、歩2枚
▲3三香成から攻めを見た手です。後手玉の穴熊もはがれてきました。
110手目
佐藤九段 ▲ 飛車、金、歩
深浦九段 △ 金、銀、香、歩3枚
この桂跳ねが決め手になりそうです。
投了図
佐藤九段 ▲ 飛車、金、銀、歩
深浦九段 △ 銀、桂、香、歩3枚
この局面で佐藤九段が投了しました。以下、▲同金、△同馬、▲同玉、△9四桂からの即詰みです。勝った深浦九段はベスト8進出です。次回の対局にも期待です!
第60期王位戦予選 広瀬竜王VS佐々木勇気七段
広瀬竜王 ▲ 歩3枚
佐々木七段 △ 歩2枚
後手が横歩取りに誘導し、先手が青野流を選択しました。
29手目
広瀬竜王 ▲歩2枚
佐々木七段 △歩
後手の歩の垂らしを飛車の横利きで止めました。今後の展開としては8筋の歩の攻防になると思われます。どちらの歩が負担になるのか?
34手目
広瀬竜王 ▲ 歩2枚
佐々木七段 △ なし
△5三銀から飛車をいじめる展開を後手が狙っています。
39手目
広瀬竜王 ▲歩2枚
佐々木七段 △ なし
先手が角の活用を図りました。次に▲8六角と歩を取られると後手が厳しそうなので、後手も歩を守る手が求められます。
43手目
広瀬竜王 ▲ 2枚
佐々木七段 △ なし
先手の飛車をいじめに△6四銀〜△5五銀と進出しましたが、飛車はいじめられにくい展開になりました。次に▲3四歩と伸ばす手も考えられます。
54手目
広瀬竜王 ▲ 歩2枚
佐々木七段 △ 歩2枚
▲2五桂を受けた手ですが、後手の銀も逃げ場がありません。
61手目
広瀬竜王 ▲ 歩3枚
佐々木七段 △ 歩
65手目
広瀬竜王 ▲ 角、歩4枚
佐々木七段 △ 桂、歩
先手が飛車を切りました。△同金上、▲8六角までは進みそうです。その時点での駒割りは飛車、桂と角、銀の交換でほとんど駒の損得はなさそうですが、次に▲2四歩からの銀取りも残っており、先手が指しやすそうです。
70手目
広瀬竜王 ▲ 角、銀、歩4枚
佐々木七段 △ 桂、歩2枚
後手が△2七飛車から粘りにいった局面です。先手に決め手はあるのでしょうか?
投了図
広瀬竜王 ▲ 歩4枚
佐々木七段 △ 桂、歩2枚
この局面で佐々木七段が投了となりました。△54手目の△2四銀が敗着の一手と感想戦でも話し合われました。広瀬竜王がタイトルホルダーの貫禄を見せつけた一局でした。