第80期順位戦B級1組9回戦 藤井竜王VS近藤七段
12月2日に行なわれた藤井竜王と近藤七段の順位戦の一局を振り返りたいと思います。
ここまでの両者の順位戦の成績は藤井竜王が7勝1敗、近藤七段が2勝5敗の成績です。
藤井竜王は昇級に向けて、近藤七段は残留に向けて負けられない一戦となります。
9手目
近藤七段 ▲ なし
藤井竜王 △ なし
相居飛車の出だしから角換わりになりました。
角換わりは両者ともに得意としている戦型であり、研究が深い戦型になりますので、事前の研究にも注目したいところです。
25手目
近藤七段 ▲ 角
藤井竜王 △ 角
先手は9筋の歩を突き越しました。
終盤で先手玉の逃げ道を広くしており、そのような展開になれば近藤七段のペースとなっていそうです。
近年ではあえて歩を突き越させて後手から仕掛ける手順も確立させてきていることから難しいところではありますが、一局といったところでしょうか。
44手目
近藤七段 ▲ 角
藤井竜王 △ 角
近年の角換わりではバランスが重視されているので4八金+2九飛型が多く指されていますが、本局はお互いに固さを活かした戦型になりました。
先手から▲4五歩が見えていましたが、先に後手が気合いでは負けじと6筋から仕掛けました。
48手目
近藤七段 ▲ なし
藤井竜王 △ 角
藤井竜王は突き越されていた9筋から仕掛けました。
▲9四同歩に△4五歩と手を戻し、歩を入手した後に9筋から仕掛ける展開でしょうか。
60手目
近藤七段 ▲ 歩3枚
藤井竜王 △ 角、歩
後手が2筋の飛車の直通を歩で止めました。
▲同飛は△4九角が飛車と銀の両取りになるのでこの歩は取れません。
ただ、▲1八飛と逃げて次の▲7四歩の筋が狙いとして残るため後手も早い攻めが求められる局面です。
69手目
近藤七段 ▲歩4枚
藤井竜王 △香、歩
先手は気持ちでは負けられないと▲2六香と歩の裏から後手玉を睨む香車を設置しました。
9筋を受けない攻めですので、お互いがどこまで読み切っているのか
97手目
近藤七段 ▲ 桂
藤井竜王 △ 金、銀、香、歩4枚
先手が飛車と角に両取りをかけた局面ですが、△9六香や△3七角成などの有力な指してが多いです。
後手玉も危なそうに見えますが、逃げ道は広そうにも見えます。
108手目
近藤七段 ▲飛、桂、歩2枚
藤井竜王 △金、銀、桂、香、歩2枚
後手が挟撃体制を築き先手玉を追い詰めています。
次に▲4四角と王手しても冷静に△4三玉と逃げておけば問題なさそうです。
投了図
近藤七段 ▲ 桂、歩3枚
藤井竜王 △飛、金、銀、香、歩2枚
△6七桂を見て先手は投了しました。
▲6七同飛は△4九飛、▲6九歩、△8八銀、▲同金、△同銀成、▲同玉、△9八金、▲7八玉、△8八金、▲6八玉、△5九飛成から詰んでいます。
この対局結果により星を藤井竜王は8勝1敗、近藤七段は2勝6敗となりました。
藤井竜王がA級昇級に向けて一歩前進しました。
近藤七段も次回の対局で残留に向けて力を出し切っていただきたいと思います。