第62期王位戦挑戦者決定戦 豊島竜王VS 羽生九段
5月25日に行われた豊島竜王と羽生九段の一戦を振り返ります。
豊島竜王は第60期の王位戦で木村九段の挑戦を受け、フルセットまでもつれる激戦の末に王位を失陥しました。
今回は第60期以来の王位戦のタイトル戦の舞台を狙います。
羽生九段は王位獲得計18期の永世王位です。タイトル総獲得数も99期で、大台の100期を狙う戦いとなります。
3手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ なし
豊島竜王が△8四歩と居飛車を明示すると、羽生九段は矢倉を志向しました。
矢倉の採用率は近年下がってきたように感じましたが、最近採用する対局も多くなってきた印象です。
23手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ なし
先手は早囲いで玉の整備を急ぎます。
玉を▲7八に留め、〜▲6八金は角の打ち込みに強いので、脇システム等と相性が良いとされています。
35手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ なし
戦型は矢倉の脇システムになりました。
先手は9筋の歩を受けましたが、後手の銀が△5三の地点にいるため、棒銀のリスクは少ないです。
先手が1筋を詰めているのも、今後の展開に影響するかもしれません。
39手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ なし
この局面で先手は▲2四歩と歩を突き捨てました。
△同銀ですと、▲7一角から馬を作られてしまうので△同歩の一手です。
歩が有れば▲2五歩の継ぎ歩も見えてきます。
48手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ 歩
お昼休憩を挟んでの一手は△2三金でした。
先手の2筋の突き捨てを逆用して上部に厚みを作った手です。
△4二金〜△3二金と玉を固める手が見えてきます。
55手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ 歩
千日手を避けたい先手から仕掛けました。
△同歩と角の効きを閉ざして、▲4五歩が見えます。
64手目
羽生九段 ▲ 歩
豊島竜王 △ 歩4枚
先手が後手の堅陣を崩しにかかった局面です。
形勢は難しいですが、後手の囲いが固いことを考慮すると、実践的には後手が有利でしょか。
71手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ 桂、歩4枚
先手が▲2六桂と打った局面ですが、歩切れですので△2五銀に▲3四歩と打つことができません。
先手としては歩を入手したいですが、どこから入手するかが難しいです。
83手目
羽生九段 ▲ なし
豊島竜王 △ 桂、歩7枚
先手は1筋を絡めた猛攻を仕掛けますが、攻めが細い印象です。
後手は、1筋から入玉も考えられる局面になってきました。
▲5四銀に変えて▲1一香成は△同飛で後手の飛車が働いてきますので、指しづらいところでした。
88手目
羽生九段 ▲ 桂
豊島竜王 △ 桂、香、歩7枚
後手は△1一飛と飛車を活用しました。
△1九香成〜△1八飛成の活用が見えており、これは先手が困っていそうです。
94手目
羽生九段 ▲ 桂
豊島竜王 △ 歩7枚
先手と後手で飛車の働きに差が出ました。
▲6四歩、△5六桂、▲同銀と進みますと、▲桂、香と△飛車の2枚換えになりますが、お互いに入玉をした際に点数で大きな差がでそうです。
投了図
羽生九段 ▲ 金
豊島竜王 △ 飛、桂、歩9枚
この局面で羽生九段が投了しました。
後手の入玉は防ぐことは厳しそうです。
相入玉になりますと、先手が大駒を取ることが求められます。
△8二角を狙いたいですが、簡単ではなさそうなので、投了も仕方なさそうです。
第1局は6月29・30日に行われる予定です。