将棋の神様 〜将棋ブログ〜

将棋はおもしろい!

第62期王位戦挑戦者決定戦 豊島竜王VS 羽生九段

f:id:edogamuku:20210525223307j:image

 

5月25日に行われた豊島竜王と羽生九段の一戦を振り返ります。

 

豊島竜王は第60期の王位戦で木村九段の挑戦を受け、フルセットまでもつれる激戦の末に王位を失陥しました。

今回は第60期以来の王位戦のタイトル戦の舞台を狙います。

 

羽生九段は王位獲得計18期の永世王位です。タイトル総獲得数も99期で、大台の100期を狙う戦いとなります。

 

3手目

f:id:edogamuku:20210525055239j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ なし

 

豊島竜王が△8四歩と居飛車を明示すると、羽生九段は矢倉を志向しました。

 

矢倉の採用率は近年下がってきたように感じましたが、最近採用する対局も多くなってきた印象です。

 

23手目

f:id:edogamuku:20210525055736j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ なし

 

先手は早囲いで玉の整備を急ぎます。

玉を▲7八に留め、〜▲6八金は角の打ち込みに強いので、脇システム等と相性が良いとされています。

 

35手目

f:id:edogamuku:20210525061054j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ なし

 

戦型は矢倉の脇システムになりました。

先手は9筋の歩を受けましたが、後手の銀が△5三の地点にいるため、棒銀のリスクは少ないです。

先手が1筋を詰めているのも、今後の展開に影響するかもしれません。

 

39手目

f:id:edogamuku:20210525061720j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ なし

 

この局面で先手は▲2四歩と歩を突き捨てました。

△同銀ですと、▲7一角から馬を作られてしまうので△同歩の一手です。

歩が有れば▲2五歩の継ぎ歩も見えてきます。

 

48手目

f:id:edogamuku:20210525062336j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ 歩

 

お昼休憩を挟んでの一手は△2三金でした。

先手の2筋の突き捨てを逆用して上部に厚みを作った手です。

△4二金〜△3二金と玉を固める手が見えてきます。

 

 

55手目

f:id:edogamuku:20210525062953j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ 歩

 

千日手を避けたい先手から仕掛けました。

△同歩と角の効きを閉ざして、▲4五歩が見えます。

 

 

64手目

f:id:edogamuku:20210525063505j:image

羽生九段 ▲ 歩

豊島竜王 △ 歩4枚

 

先手が後手の堅陣を崩しにかかった局面です。

形勢は難しいですが、後手の囲いが固いことを考慮すると、実践的には後手が有利でしょか。

 

71手目

f:id:edogamuku:20210525074640j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ 桂、歩4枚

 

先手が▲2六桂と打った局面ですが、歩切れですので△2五銀に▲3四歩と打つことができません。

先手としては歩を入手したいですが、どこから入手するかが難しいです。

 

83手目

f:id:edogamuku:20210525075151j:image

羽生九段 ▲ なし

豊島竜王 △ 桂、歩7枚

 

先手は1筋を絡めた猛攻を仕掛けますが、攻めが細い印象です。

後手は、1筋から入玉も考えられる局面になってきました。

▲5四銀に変えて▲1一香成は△同飛で後手の飛車が働いてきますので、指しづらいところでした。

 

88手目

f:id:edogamuku:20210525220226j:image

羽生九段 ▲ 桂

豊島竜王 △ 桂、香、歩7枚

 

後手は△1一飛と飛車を活用しました。

△1九香成〜△1八飛成の活用が見えており、これは先手が困っていそうです。

 

94手目

f:id:edogamuku:20210525221008j:image

羽生九段 ▲ 桂

豊島竜王 △ 歩7枚

 

先手と後手で飛車の働きに差が出ました。

▲6四歩、△5六桂、▲同銀と進みますと、▲桂、香と△飛車の2枚換えになりますが、お互いに入玉をした際に点数で大きな差がでそうです。

 

投了図

f:id:edogamuku:20210525221808j:image

羽生九段 ▲ 金

豊島竜王 △ 飛、桂、歩9枚

 

この局面で羽生九段が投了しました。

後手の入玉は防ぐことは厳しそうです。

入玉になりますと、先手が大駒を取ることが求められます。

△8二角を狙いたいですが、簡単ではなさそうなので、投了も仕方なさそうです。

 

 

豊島竜王は、七番勝負で藤井聡太王位と対戦します。

第1局は6月29・30日に行われる予定です。