第60期王位戦挑戦者決定リーグ 羽生九段 VS 中村太地七段
5月に入り元号も平成から令和になり、新しい時代になりました。
本局は豊島王位に挑戦するリーグ戦白組の羽生九段と中村七段の一局です。
ここまでのリーグ成績は羽生九段が1勝1敗、中村七段が2勝0敗です。中村七段がこのまま全勝をキープするのか?羽生九段が挑戦に向けて踏み止まるのか?前半戦の山場です。
今期の成績は羽生九段が1勝2敗(0.333)、中村七段が2勝1敗(0.667)です。
両者の対戦は羽生九段の9勝5敗です。対局のほとんどがタイトル戦の大一番です。
8手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ なし
横歩取りの将棋になりそうです。横歩取りは両者とも得意としている戦法です。
19手目
中村七段 ▲ 歩3枚
羽生九段 △ 歩2枚
先手は青野流を選択しました。横歩取りの中でも特に激しい変化になりやすいのが青野流です。
29手目
中村七段 ▲ 歩2枚
羽生九段 △ 飛、歩
先手は龍を作ることに成功しました。後手は次に△2四角とすれば1歩得になります。ただ後手は2筋と8筋に歩を打っているのが気になるところではあります…
47手目
中村七段 ▲ 角、歩
羽生九段 △ 飛、角、歩2枚
先手が端から手をつけましたが、△同歩の時にどのように攻めるのでしょうか?
53手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 飛、歩4枚
47手目から△同歩、▲1二歩、△同歩、▲5四歩、△2四角、▲3四歩と後手の角を押さえた局面です。先手は歩切れですが、歩が手に入ると▲2四歩から角を捕獲することができます。
61手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 歩4枚
これで後手の角が捕獲されました。しかし、先手も龍の侵入を許しており、形勢は難しいと思います…先手玉は2筋方面に逃げれば中々捕まらない形です。
62手目
中村七段 ▲ なし
羽生九段 △ 歩3枚
お互いに我が道を進みます。果たしてどちらが読み勝っているのでしょうか?
78手目
中村七段 ▲ 角、金、香、歩3枚
羽生九段 △ 金、歩4枚
以下、△4八玉、▲4七角成、△同玉、▲4九龍でかなり先手玉に迫れます。ただ後手も7筋、8筋が壁になっており、決して安全ではないところ…
97手目
中村七段 ▲ 角2枚、歩4枚
羽生九段 △ 金、桂、歩4枚
先手が中央に駒を集めて特攻をかけました。以下、△同玉銀、▲同桂左成、△同金、▲同桂成、△同玉までは進みそうです。ここまで進むと、後手玉を引っ張りだされたの形になるので相当に危険です。
126手目
中村七段 ▲ 金2枚、銀、桂、香、歩4枚
羽生九段 △ 銀、歩3枚
局面は進みお互いの玉が接近してきました。そうなってくると△7五金の存在が大きそうです…▲6八銀も△7九龍を牽制しています。
投了図
中村七段 ▲ 金2枚、銀、歩5枚
羽生九段 △ 桂、歩3枚
この局面で中村七段が投了しました。これでリーグ成績をお互いに2勝1敗にしました。現在リーグ戦白組は永瀬七段が3勝0敗で独走していますが、まだまだわかりません。